数千もの銘柄から「お宝」を探す作業は、これまではプロの投資家や、高度なプログラミングスキルを持つ人だけの特権でした。しかし、自律型AI「Claude Code」の登場で、その壁は消え去りました。
この記事では、投資の王道指標である「営業利益率」と「ROE」を組み合わせ、優良企業だけを瞬時にスキャンする具体的な方法を解説します。紹介するコマンドやプロンプトをそのまま使うだけで、あなたのPCが今日から「最強の投資アナリスト」に変わります。
なぜ「営業利益率」と「ROE」の組み合わせが最強なのか?
投資の世界には数え切れないほどの指標がありますが、企業の「稼ぐ力」と「経営の効率」を同時に測るなら、営業利益率とROE(自己資本利益率)の右に出るものはありません。この2つの数字が揃って高い企業は、不況にも強く、長期的に株価が上昇しやすい傾向にあります。
まずは、なぜこの2つの指標を掛け合わせることが「黄金比」と呼ばれるのか、その論理的な背景を確認しておきましょう。
本業で稼ぐ力(営業利益率)と資本の効率(ROE)は表裏一体
営業利益率は、売上のうちどれだけが本業の利益として残ったかを示す、いわば「商品の競争力」を測る物差しです。一方のROEは、株主から預かったお金をどれだけ効率よく増やしたかを示す「経営の腕前」を測る物差しと言えます。
どれだけROEが高くても、それが多額の借金による見せかけの数字であれば、景気が悪化した際にすぐ行き詰まってしまいます。しかし、営業利益率が高い企業であれば、自ら稼ぐ力が強いため、安定して高いROEを維持しやすくなります。このように、2つの指標をセットで見ることで、企業の真の実力を多角的に判断できるようになります。
まずは、この「収益性」と「効率性」の両輪が揃っていることが、優良銘柄を見極めるための絶対条件であることを覚えておきましょう。
競合他社が参入できない「強み」を持つ企業だけが残る
高い利益率と高い効率を長年維持できている企業には、必ず「他社が真似できない理由」があります。それは強力なブランド力であったり、特許技術であったり、あるいは一度使い始めたらやめられない便利なインフラのようなサービスであったりします。
こうした強みを専門用語で「ワイド・モート(広い堀)」と呼びますが、数字はこの堀の深さを正直に映し出します。黄金比に合致する企業をスクリーニングすることは、単に数字が良い会社を探すだけでなく、将来にわたって生き残り続ける「強い会社」の候補をリストアップすることに他なりません。
以下の表に、黄金比を満たす企業の代表的な特徴をまとめました。
| 特徴 | 内容 | 投資家にとってのメリット |
| 価格支配力 | 原材料が上がっても値上げができる | インフレに強く利益が減りにくい |
| 高い参入障壁 | 他社が追いつくのに時間がかかる | 長期間にわたって独占利益を得られる |
| 低い設備投資 | 巨額の工場投資なしで利益を出せる | 余ったお金を配当や自社株買いに回せる |
Claude Codeで株式スクリーニングを行うための環境構築
Claude Codeは、ブラウザでAIとチャットするのとは違い、あなたのPC上で直接プログラムを書き、データを取得してくれるツールです。少しだけ「黒い画面(ターミナル)」を使いますが、手順通りにコマンドを打てば誰でも設定できます。
ここでは、環境構築が初めての方でも迷わないよう、最低限必要な3つのステップを具体的に解説します。
AnthropicのAPIキーを取得して環境変数を設定しよう
Claude Codeを動かすには、開発元であるAnthropicから発行される「APIキー」が必要です。まずは公式サイトのコンソールにログインし、自分専用のキーを作成してください。
取得したキーは、PCがいつでも呼び出せるように設定します。Macの方はターミナル、Windowsの方はコマンドプロンプト(またはPowerShell)を開き、以下のコマンドを入力してください。
# Mac/Linuxの場合
export ANTHROPIC_API_KEY='あなたのキーをここに貼る'
# Windows (PowerShell) の場合
$env:ANTHROPIC_API_KEY="あなたのキーをここに貼る"
この設定を忘れると起動時にエラーが出てしまうため、最初の一歩として必ず実施しましょう。
Node.jsのインストールからClaude Codeの導入までの手順
Claude CodeはNode.jsという環境で動作します。公式サイトから推奨版(LTS)をインストールした後、以下のコマンドを一行だけ実行してください。
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
これで、あなたのPCで claude と打てばAIが起動するようになります。従来の開発では自分で設定ファイルをいくつも書く必要がありましたが、Claude CodeならAIと対話しながら進められるため、驚くほど簡単に使い始めることができます。
財務データを取得するためのPythonライブラリを準備する
今回のスクリーニングでは、Pythonというプログラミング言語を使って株価データを取得します。特に「yfinance」というライブラリを使えば、世界中の企業の財務データを無料で引き出すことが可能です。
以下のコマンドを実行して、必要な道具を揃えましょう。
Bash
pip install yfinance pandas
これらのツールが揃えば準備は万端です。あなたは既に、世界中の株式市場をスキャンするための「強力なレーダー」を手に入れたことになります。
1分で完了!黄金比で銘柄を抽出する具体的な手順
準備が整ったら、実際に銘柄を探してみましょう。手順は至ってシンプルです。あなたが調べたい銘柄のリストをAIに渡し、条件を指定して実行ボタンを押すだけです。
ここでは、実際にどのようにAIへ指示を出し、結果を得るのかという具体的な流れを把握していきましょう。
ターゲットとなる銘柄リストを用意してClaudeに読み込ませる
まずは、分析したい企業の「銘柄コード」を用意します。日本株なら「7203.T(トヨタ)」、米国株なら「AAPL(アップル)」といった形式です。
このリストを tickers.txt という名前で保存し、Claude Codeに「このファイルにある銘柄を調べて」と伝えるのが最初のアクションです。もしリストを作るのが面倒な場合は、Claude Codeに「TOPIX100の銘柄リストを自動で作って」と頼むことも可能です。AIが自らネットを検索し、最新のリストを作成してくれます。
営業利益率15%以上かつROE15%以上の条件を適用する
次に、具体的なスクリーニング条件を指定します。今回は「黄金比」として、営業利益率とROEが共に15%を超えている企業を探してみましょう。
一般的に10%を超えれば優良と言われますが、15%という高い壁を設定することで、本当に一握りの「勝ち組企業」だけを炙り出すことができます。Claude Codeは、各銘柄の最新の決算データを読み取り、この計算をあなたの代わりに数秒で行ってくれます。自分で四季報をめくったり、ウェブサイトを何往復もしたりする必要はありません。
抽出された銘柄を見やすく出力する方法
計算が終わったら、結果を整理して表示させます。単に銘柄名が並んでいるだけではなく、ROEが高い順に並べ替えたり、現在の株価も合わせて表示させたりすると、その後の判断がスムーズになります。
Claude Codeに対し、「結果は表形式で出力し、最後にCSVファイルとしても保存しておいて」と付け加えるのがおすすめです。そうすれば、後でExcelで開いて自分なりのメモを書き加えるといった使い方もできるようになります。情報の整理までAIが完璧にこなしてくれます。
コピペで動く!優良株検索のための専用プロンプトとコード
ここからは、実際にClaude Codeの画面でそのまま使える「魔法の指示文(プロンプト)」と、AIが生成するスクリプトの構造を紹介します。
以下のプロンプトをそのまま貼り付けて、実行してみてください。
財務三表から自動で指標を計算させるための指示文
Claude Codeを起動(ターミナルで claude と入力)したら、以下の文章をそのまま貼り付けてください。
yfinanceを使って、以下の銘柄の財務データをスクリーニングするPythonコードを作成し、その場で実行してください。
条件:
1. 営業利益率(Operating Margin)が15%以上
2. ROE(Return on Equity)が15%以上
3. 自己資本比率が40%以上
4. 結果をROEの高い順にテーブル形式で表示し、final_list.csvに保存する。
対象銘柄:AAPL, MSFT, GOOGL, NVDA, TSLA, 7203.T, 6758.T, 9984.T
(※調べたい銘柄をここに追加してください)
AIが自動生成するPythonコードのイメージ
上記のプロンプトを投げると、Claude Codeは裏側で以下のようなロジックを自動で組み立てます。
import yfinance as yf
import pandas as pd
def screen_stocks(tickers):
results = []
for ticker in tickers:
stock = yf.Ticker(ticker)
info = stock.info
# データの抽出(一部の項目は計算が必要な場合もあります)
op_margin = info.get('operatingMargins', 0)
roe = info.get('returnOnEquity', 0)
equity_ratio = info.get('bookValue', 0) * info.get('sharesOutstanding', 0) / info.get('totalAssets', 1)
if op_margin >= 0.15 and roe >= 0.15:
results.append({
'Ticker': ticker,
'Operating Margin': f"{op_margin:.2%}",
'ROE': f"{roe:.2%}"
})
df = pd.DataFrame(results).sort_values('ROE', ascending=False)
print(df)
df.to_csv('final_list.csv', index=False)
# 実行
screen_stocks(['AAPL', '7203.T'])
実行エラーが出た際にAIに修正させるための伝え方
もしプログラムが途中で止まってしまったら、焦らずにエラーメッセージをそのままClaude Codeに貼り付けてください。「このエラーが出たので直して」と伝えるだけで、AIは原因を特定し、修正プログラムを再実行してくれます。
例えば、ネットワークの関係でデータが一部取得できなかった場合でも、AIは「エラーになった銘柄をスキップして、取得できたものだけでリストを作ります」といった賢い判断を下してくれます。このようにAIと対話しながら進められるのが、Claude Codeの最大のメリットです。
抽出した銘柄をさらに深掘りする3つのチェックポイント
AIが優良株の候補を見つけてくれたら、次はあなたの出番です。数字だけで「買い」を決めるのは早計です。なぜなら、数字はあくまで「過去の結果」であり、将来を100%保証するものではないからです。
ここでは、AIが選んだ銘柄が本当に投資に値するかを確かめるための、3つの重要な深掘りポイントを解説します。
過去3〜5年の推移を見て「一過性の利益」ではないか確認する
たまたまその年だけ保有資産を売却して利益が出たり、一時的なブームで売上が跳ね上がったりしただけの企業は、黄金比からすぐに脱落してしまいます。大切なのは、その高い利益率と効率を「維持できているか」という点です。
Claude Codeに「過去5年間の営業利益率の推移をグラフにして」と頼んでみましょう。もし折れ線グラフが右肩上がり、あるいは高い水準で横ばいであれば、その企業の稼ぐ力は本物である可能性が高いと判断できます。
売上高の成長性が止まっていないかセットで分析しよう
利益率がどんなに高くても、売上が年々減っているような企業は「衰退期」に入っている恐れがあります。コストカットだけで利益を絞り出している場合、いずれ限界がやってきます。
投資対象として理想的なのは、「利益率が高いまま、売上も増えている」という状態です。AIに売上高の成長率も計算させ、成長の勢いが衰えていないかをチェックしましょう。
自己資本比率をチェックして倒産リスクを排除する
ROEが高い企業の中には、自己資本を極端に減らし、多額の借金でレバレッジをかけている場合があります。これは景気が良いときはリターンを押し上げますが、不況時には一転して倒産リスクへと変わります。
必ず「自己資本比率」をセットで確認し、少なくとも40%以上の健全な財務基盤があるかどうかを確かめてください。稼ぐ力、効率、そして「安全性」。この3拍子が揃って初めて、安心して長期保有できる優良株と言えます。
以下の表で、深掘り時の合格目安を確認しましょう。
| チェック項目 | 合格ライン | 理由 |
| 利益率の安定性 | 3年以上横ばい以上 | 一過性の利益ではない証拠 |
| 売上の成長性 | 年率5%以上の増加 | 事業が拡大している証拠 |
| 財務の安全性 | 自己資本比率40%以上 | 借金に頼りすぎていない証拠 |
監視リストを自動更新して優良株の変化を捉え続ける
一度優良株を見つけたら終わりではありません。企業の業績は常に変化しており、3ヶ月ごとの決算発表で「黄金比」が崩れてしまうこともあります。
ここでは、Claude Codeの能力を最大限に活かし、常に最新の情報をキャッチし続けるための運用術をお伝えします。
お気に入り銘柄をCSV保存して定期的に最新化する仕組み
抽出した銘柄はCSVファイルとして保存しておき、定期的に再スキャンを行いましょう。Claude Codeに「前回保存したfinal_list.csvの銘柄について、最新データで指標を更新して」と指示するだけで、最新の財務状況が反映されます。
手作業で数値を入力し直す手間は一切ありません。数秒の実行で、あなたの監視リストは常に最新の状態に保たれます。
指標が悪化した銘柄を検知する
単に最新の数値を出すだけでなく、「前回よりROEが下がった銘柄を教えて」といった指示も可能です。これにより、業績の陰りをいち早く察知し、大きな損失が出る前に撤退するといった判断ができるようになります。
AIに「変化」を監視させることで、あなたは膨大なニュースを追うストレスから解放され、重要な予兆だけを冷静に受け取れるようになります。
監視作業を自動化して「戦略」に集中する
データの収集と計算をAIに丸投げできれば、あなたは「今の株価は割安か?」「いつ買うのがベストか?」という、より高度な戦略の検討に時間を割けるようになります。
投資の成功は、退屈な作業をどれだけ自動化し、クリエイティブな思考にどれだけ時間を割けるかで決まります。AIという最強のパートナーを使いこなし、情報の波に飲まれないスマートな投資スタイルを確立しましょう。
自動スクリーニングで注意すべきデータ精度とリスク
非常に強力なClaude Codeでのスクリーニングですが、いくつか知っておくべき「落とし穴」もあります。ツールの特性を正しく理解しておくことが、予期せぬミスを防ぐ鍵となります。
最後に、運用時に気をつけるべきリスクと、その対策についてまとめました。
yfinanceなどの無料データソースに存在する「ラグ」を知る
今回使用するデータソースは非常に便利ですが、公式の決算発表からデータが反映されるまでに、数日のタイムラグが生じることがあります。また、稀に数値が誤って登録されているケースもゼロではありません。
特に決算直後の激しい値動きの中で判断を下す際は、必ず企業の公式サイトで開示されている「決算短信」の生データも確認するようにしましょう。AIはあくまで「ふるい」にかけるための道具として使い、最終確認は自分の目で行うのが鉄則です。
特別損失などでROEが一時的に跳ね上がる「だまし」への対策
ROEは「当期純利益」を使って計算されるため、例えば本社ビルを売却して一時的に多額の利益が出た場合、その年だけ異常に数値が良くなることがあります。
こうした「だまし」を避けるには、営業利益(本業の利益)ベースのROEを計算させるか、あるいは複数年の平均値を使うようにAIに指示を出すのが効果的です。
AIの計算結果を過信せず自分の目でも確認しよう
AIが生成したコードにバグがあったり、データの解釈を間違えたりする可能性もわずかにあります。大きな金額を投資する前には、必ず証券会社の銘柄詳細ページなど、別の情報源と数値が一致しているかを確認してください。
「AIが言ったから正しい」と思い込まず、ダブルチェックを行う習慣をつけることが、長期的に生き残る投資家への道です。
まとめ:AIを味方につけて、根拠のある投資を始めよう
「営業利益率×ROE」の黄金比検索をClaude Codeで実行する方法を振り返りましょう。
- Claude Codeをインストールし、APIキーとNode.js、Python環境を整える。
- 専用プロンプトを使い、AIにスクリプトを書かせて1分で銘柄を抽出する。
- yfinanceを使って、最新の財務データを自動取得する。
- 推移の確認や安全性チェックをセットで行い、数字の裏にある実力を深掘りする。
これまでの苦労が嘘のように、AIを使えば優良銘柄の探索は圧倒的に楽になります。余った時間は、業界の研究やマクロ経済の勉強、あるいは大切な人との時間に充ててください。
まずは身近な銘柄を数個、Claude Codeに読み込ませることから始めてみましょう。データに基づいた、冷静で根拠のある投資の世界がすぐそこに待っています。

