Googleが提供するAIノートツール「NotebookLM」の人気機能である「音声概要」がアップデートされました。これまでは、アップロードした資料をもとに2人のAIホストがポッドキャスト形式で対話する様子を「聴く」だけでしたが、これからは生成前にこちらから細かな注文を出せるようになっています。
自分の知りたい情報だけを重点的に話してもらったり、専門用語を抜きにして解説してもらったりと、活用の幅が大きく広がりました。この記事では、新しく追加されたカスタマイズ機能の使い方や、思い通りの音声を生成するための具体的な指示の出し方、再生速度の変更方法について分かりやすく解説します。
NotebookLMの音声概要で何ができるようになった?
これまでの音声概要は、資料を読み込ませて生成ボタンを押すと、AIが自動的に重要だと判断した箇所をピックアップして会話を構成していました。しかし、今回のアップデートによって、生成が始まる前に「AIホストへの指示(プロンプト)」を入力できる窓口が設置されています。
これにより、同じ資料を使っていても、自分の目的に合わせて全く異なる内容の音声コンテンツを作ることが可能になりました。例えば、膨大なリサーチ資料の中から特定のプロジェクトに関連する数値だけを抜き出して議論させるといった、ピンポイントな要約も自由自在です。
2人のAIホストに「話し方の注文」を出せる
これまでは、AIホストの会話が盛り上がりすぎて、肝心な情報がサラッと流されてしまうこともありました。新機能では「もっと結論を急いでほしい」「一つのトピックをじっくり深掘りしてほしい」といった、会話のテンポや構成に対するリクエストが通るようになっています。
聞き手としてのスタンスを指定できるため、まるで自分専用のラジオ番組を企画しているような感覚で音声を生成できます。指示の内容によって、2人の掛け合いの雰囲気も微妙に変化するのが面白いポイントです。
自分の目的に合わせて内容の濃度を調整できる
資料のすべてを網羅的に話してもらうのではなく、特定の章や特定のキーワードに絞った議論を指示できます。これにより、10分以上の長い音声を短縮したり、逆に重要なポイントを重点的に厚く解説させたりといった、情報の「濃淡」をユーザー側でコントロールできるようになりました。
| カスタマイズの目的 | AIへの指示イメージ | 得られる効果 |
| 短時間で把握したい | 5分以内で要点をまとめて | 結論重視のテンポの良い会話になる |
| 専門知識を深めたい | 技術的な仕組みを重点的に話して | 表面的な要約ではなく深い議論になる |
| 初心者に教えたい | 専門用語を使わずに解説して | 噛み砕いた表現や例え話が増える |
必要な箇所だけを重点的に深掘りさせる
「この資料にある市場調査の結果について、2人で厳しく批判的に議論してほしい」といった、議論の方向性を決めることも可能です。ただの内容紹介にとどまらず、異なる視点からの意見を戦わせるような音声を作ることで、自分一人では気づかなかった資料の解釈を見つけるきっかけにもなります。
生成前にAIへ指示を出す手順
カスタマイズ機能を使うのは非常に簡単です。NotebookLMのノートブックを開き、画面右側にある「ノートブックガイド」を表示させるところからスタートします。これまでの生成フローに、たった一つのステップを加えるだけで完了します。
一度生成したあとに「やっぱり別の切り口で聴きたい」と思った場合も、すぐに作り直すことができます。以前のように「運任せ」で生成を待つ必要がなくなったのは、実務で使う上で大きな改善といえるでしょう。
「カスタマイズ」ボタンから指示を入力する
音声概要の生成セクションにある「カスタマイズ」という小さなボタンをクリックします。すると入力ボックスが現れるので、そこにAIホストへの要望を日本語で入力しましょう。
- まず「ノートブックガイド」を開く
- 音声概要の枠内にある「カスタマイズ」を選択
- 指示を書き込み「生成」を押す
たったこれだけの操作で、AIホストはあなたのリクエストに従った新しい会話を組み立て始めます。
既存の音声概要を作り直して最適化する
すでに音声概要を作成済みのノートブックでも、カスタマイズは可能です。既存の音声の横にあるメニューから「削除」を選んで作り直すか、新しい指示を入力して再生成のプロセスを進めてください。
指示を変えるたびに内容がガラッと変わるため、納得がいくまで何度か試してみるのがおすすめです。資料の内容が更新された際も、この手順で最新の情報を反映させた音声を作ることができます。
指示をリセットして標準の要約に戻す
いろいろな指示を試した結果、やはりAIに任せた標準的な要約が聴きたくなったときは、入力した指示を消去するだけで元に戻ります。カスタマイズの内容は保存されているため、必要に応じて削除して「白紙」の状態で生成ボタンを押せば、バランスの良い一般的な解説音声が手に入ります。
話し方や内容をコントロールする方法
具体的にどのような指示を出せば、音声の質が上がるのでしょうか。AIは具体的な役割やシチュエーションを与えられるほど、精度の高いアウトプットを返してくれます。ここでは、日常の業務や学習で役立つ、そのまま使える指示のパターンを紹介します。
指示を出す際は、箇条書きで複数を組み合わせることもできます。例えば「専門用語を避けつつ、結論から先に話して」といった具合です。
専門用語を抑えて初心者にわかりやすく解説させる
難しい論文や技術資料を読み込ませる場合、「中学生でもわかるように、身近な例え話を使って説明して」と指示してみましょう。AIホストが「それって、要するにこういうことだよね?」と、日常的な表現に翻訳して会話を進めてくれるようになります。
特定のトピックやデータ数値に絞って議論させる
資料の一部にしか興味がない場合は、「第3章の売上予測データについてだけ集中して議論して。他の部分は省いていいよ」と伝えます。これにより、余計な前置きを飛ばして、一番知りたい本題から音声がスタートするようになります。
特定のテーマに絞る指示のコツ
- 「〇〇の項目について重点的に話して」と対象を指定する
- 「数値の根拠について疑問を投げかけて」と議論の質を指定する
- 「反対意見がある場合はそれも紹介して」と多角的な視点を入れる
10分以内のプレゼン用など構成を意識させる
「来週の会議でこの資料を5分で紹介するための、冒頭の掴みとなる話を考えて」といった指示も有効です。AIホストがプレゼンターのような立ち振る舞いで、聞き手の興味を引くポイントを整理して話してくれます。
結論から先に話してほしい場合
AIの対話は時として、周辺情報からゆっくりと核心に触れていく構成になりがちです。時間が限られているときは、「まず最初にこの資料の結論と、一番伝えたいことを3分以内で話して」と指示に含めることで、タイパ(タイムパフォーマンス)の良い音声が出来上がります。
音声の再生速度を変更する方法
生成された音声が少しゆっくり感じたり、逆に速くて聞き取れなかったりすることもありますよね。NotebookLMの再生プレーヤーには、速度調整機能が標準で備わっています。
以前は外部の拡張機能などを使う必要がありましたが、現在は公式の機能としてプレーヤー上で完結します。移動中や作業中の「ながら聞き」をする際に、自分の耳の慣れに合わせて調整してみてください。
再生プレーヤーの「1x」ボタンから速度を選ぶ
音声の再生が始まると、プレーヤーの端に「1x」という表示が出ます。ここをクリックすることで、再生スピードを切り替えるメニューが表示されます。
速度設定とおすすめの利用シーン
| 再生速度 | 向いているシーン |
| 0.5x | 複雑な数式や、聞き慣れない専門用語をメモしたいとき |
| 1.0x | 標準。初めて内容をじっくり確認するとき |
| 1.5x | 内容を一度把握しており、ざっと復習したいとき |
| 2.0x | 結論だけを急いで確認したい、または時短で聴き終えたいとき |
0.5倍速から2.0倍速まで4段階で調整する
設定できる速度は「0.5」「1.0」「1.5」「2.0」の4つのプリセットです。極端に遅くしたり速くしたりできるため、自分のリスニング能力やその時の集中度合いに合わせて使い分けるのがコツです。
聴き取りにくい箇所をスロー再生で確認する
特に翻訳機能を使って日本語で生成している場合、AIのイントネーションが不自然で聞き取りにくい単語が出てくることがあります。そうした箇所では一時的に0.5倍速に落とすことで、何を言っているのか正確に把握しやすくなります。
意図通りの音声を生成するためのコツ
カスタマイズ機能を使いこなすためには、AIへの「頼み方」に少し工夫が必要です。あいまいに「いい感じにして」と頼むよりも、いくつかの具体的な要素をセットで伝えると、ハズレのない音声が生成されやすくなります。
特に「誰が聞くのか」という設定を忘れないようにしましょう。これだけで、AIホストが選ぶ言葉のレベルが劇的に変わります。
ソース資料の中から参照すべき場所を明示する
「ノートブックにアップロードした『2025年戦略ドキュメント』の後半部分にある、リスク管理の項目をメインに話して」というように、資料の名前や場所を具体的に指し示すと、AIが迷わずに情報を抽出してくれます。
誰に向けた解説なのか「聞き手」を設定する
指示の中に「聞き手は非エンジニアのマーケ担当者です」といった属性を入れましょう。するとAIは、専門的なアルゴリズムの話を減らし、それがビジネスにどう役立つのかという視点に重心を置いて話してくれるようになります。
議論のトーン(真面目、カジュアルなど)を指定する
「大学の講義のように真面目なトーンで」や「深夜のラジオ番組のようにリラックスした雰囲気で」といった、空気感の指定も可能です。トーンを変えることで、情報の入りやすさが変わることもあります。
カスタマイズした音声概要を活用するには?
生成した音声は、自分一人で聴くだけではもったいない活用法があります。NotebookLMには共有機能が備わっているため、チームメンバーに「この資料の要点はこの5分の音声を聴けばわかるよ」と展開することができます。
また、インターネットに繋がっていない環境でも聴けるよう、ファイルとして保存しておくことも可能です。
共有リンクを発行してチームに共有する
音声プレーヤーの近くにある共有アイコンから、URLを発行できます。ノートブック自体を共有していれば、相手もあなたがカスタマイズした設定そのままの音声を聴くことができます。
音声ファイルをダウンロードしてオフラインで聴く
生成された音声は「.wav」形式でダウンロードできます。PCに保存しておけば、オフライン環境での移動中や、お気に入りのポッドキャストアプリに取り込んで聴くといった使い方が可能です。
スマホアプリ版で移動中にカスタマイズ済み音声を再生する
NotebookLMをスマホのブラウザやアプリから開けば、移動中に「耳からの学習」が捗ります。あらかじめPCでこだわりのカスタマイズ設定を行って音声を生成しておき、外出先でそれを再生するというスタイルが、最も効率的でスマートな活用法といえます。
音声概要のカスタマイズで注意すべき制限
非常に便利なカスタマイズ機能ですが、今のところできないこともいくつかあります。これらを把握しておくことで、「なぜ指示が反映されないんだろう」というストレスを減らすことができます。
特に音声そのものの質感については、まだ自由度がそれほど高くありません。今後のアップデートに期待したいポイントです。
現時点でホストの「声の種類」は直接選べない
残念ながら「落ち着いた女性の声にして」「渋い男性の声に変えて」といった、声色や性別の直接的な指定はできません。あくまで2人のホストのキャラクターは固定されており、指示によって変わるのは「話し方」や「内容」の範囲にとどまります。
非常に長い指示は反映されない場合がある
指示を入力するボックスには文字数制限があります。あまりに細かく「1分目はこれを話し、2分目にはあの資料のこの図解を引用して……」といった台本レベルの指示を書いても、AIがすべてを完璧に守ることは難しいのが現状です。ポイントを3つ程度に絞って伝えるのが、最も効果的です。
ソース資料に含まれない情報は話せない
NotebookLMの鉄則ですが、音声概要も「アップロードした資料(ソース)」に基づいた内容しか話せません。資料に書いていない世の中の一般的なニュースを議論させようとしても、AIは「資料にはありませんが」と断るか、指示を無視して資料の内容に戻ってしまうことがあります。話してほしい内容は、必ず資料として取り込んでおきましょう。
まとめ:自分専用の「聴く要約」をフル活用しよう
NotebookLMのカスタマイズ機能を使えば、ただの要約ツールを「自分専用の有能な解説者」に変えることができます。これまで内容が長すぎて聴くのを断念していた資料も、焦点を絞って指示を出すことで、短時間で効率よくインプットできるようになるはずです。
まずは「この資料を、私のような初心者にもわかるように5分で教えて」という簡単な指示から始めてみてください。文字で読むのとは違う、新しい情報の仕入れ方に驚くかもしれません。ぜひ、日々のリサーチや学習の相棒として、カスタマイズ機能を活用してみましょう。

